イチンゲよりサロルンへ

晴れ。気持ちがいい。



ナナカマドが色づいてきた。
紅葉にもよるが、この前の台風の塩風の影響もあると思う。


礼文島でガイドをやっている女性の話だと
礼文では台風が来る来ないにかかわらず常に風が強いので、塩風の影響は常にあって、
その特徴として、葉っぱの先が変色しクルッと巻いて落葉する、と言っていた。



↑2℃    ↓16.7℃  南東  3.7m/s    湿度77%


先日来た熊本の大学生(2年)は、行った先々で本を買いながら旅を続けている。
本(小説のような)を読み始めたのは大学に入ってからだという。

それまではテニス三昧の生活だった。

一度読み始めると面白く、今人気の作家も読むが(有名な)太宰治なども読む。
読んだ本は自室の本棚に並べて、増えていくのが楽しく満足でもあるという。


その気持ちはよくわかる。

昔、少し立派な家の居間にはピアノと、洋酒の並んだ大げさな家具と
壁には必ず百科事典がズラッと陳列させてあった。



大人になるってことは、何かをあきらめることかできることなのか。
可能性は無限ではない、と知ることか。

変な文章になった。



大量に処分した本棚のなかに、こんな本が残っていた。


樹のなかの音―滝口政満彫刻作品集

樹のなかの音―滝口政満彫刻作品集


阿寒に住む彫刻家瀧口政満さん。

イチンゲの店を経営している。
初めてこの店に行った時、たまたまそこにいた娘さん(5歳くらい)に
ムックリの奏法を教わった。


阿寒湖畔にあるホテル、鶴雅や花ゆう香には彼の作品が多く展示されている。


奥さんとの出会いの頃のことも書いてある。

 そこには、20歳のときに十勝の実家を出て、みやげ物屋で働いていたアイヌの女性がいた。のちに妻というわけだが。
 私が店に入ってきたとき、彼女は「いらっしゃいませ」と声をかけたが、反応がなかった。目があって、もう一度話しかけたら「聞こえないので」という返事がかえってきたという。
 2人はすこしの間筆談をした。私が阿寒湖を去ってから、彼女は手紙を書いて送ってきた。実家の牧場にたくさん生えていたエリマキの木を伐り出してもらって、それを段ボールにつめて、東京の私に送ってくれたりもした。手紙の最後にはいつも「サロルン(アイヌ語で鶴)より」と書いていた。返事を書くとき、私の方は「イチンゲ(アイヌ語で亀より」と記した。