ジスイズ2

ガッツリ冷えた朝は、歩道を歩いても滑らない。
朝日があたっているところの氷も解ける気配がない。


↑−1.0℃   ↓−12.6℃     北   4.0m/s   湿度  69%



宿に宿泊している間、宿のオーナーお勧めの「湿原大観望」によく行った。
釧網線の細岡駅で降りて、大観望まで片道30分歩く。
次の汽車の時間まで約3時間をその辺で過ごす。

夕方そのままジスイズへ行く。

黒く暗い店内と大音響のジャズ。
小林さんのオーダーを取る声も聞き取れない。

冷えた身体を、熱く胃にしみわたる濃いコーヒーで満たす。

ぼくのいつもの席は丸い窓の壁側。

不思議なもので、あれほどの大音響なのに眠くなる。
うとうとして眠気が覚めると本を読んだり手紙を書いたり。
誰に書いていたのか記憶がない。
ただ手紙を書くことが心地良かった
手紙じゃなかったかも知れない。




さてこれからどうしよう・・



釧路に住むのか、どこかへまた旅に出るか、なにも決まっていなかった。



そんなとき、小林さんとの会話はごく普通、ごく自然だった。
どこから来たの?どこに住むの?それでどうするの?
そういうことを聞かれたことはない。

気がつけば自分でかってにしゃべっている。


しゃべっているうちに少しづつ「ここに住もう」ときまってゆく。



決めたきっかけの一つはジスイズであり小林東さんだが
こうすべき、とか、こうあるべき、とは言わない。

暗く黒い店内と、熱く濃いコーヒーとにこにこ顔の小林さん・・が決めた。