それでも旅は終わらない

晴れ。
少し寒さがゆるむ。

この時とばかりにバリカンで散髪(ほとんど丸坊主)をする。
後ろの方から刈り始める(この字でいいのか?)
バリバリと、密集した稲を刈るコンバインのような音をたててバリカンが進む。
前の方へ移る。
コンバインは、まるで刈り残した稲をもう一度さらうような軽い音。

終わって鏡を見て
前の地肌が露出している。
髪がない。

知らない間にハゲが進む。


↑−0.6℃    ↓−12.6℃     北北東  1.4m/s   湿度53%





旅をしていた時のこと。
東北のとある街の宿泊していた宿を出て駅に向かう道。
重いリュックをしょって歩いているのはもちろん僕一人だ。
行き交う人はほとんど僕とは反対の方向へ向かっている。
朝の出勤時間帯なのだ。
多くの人が駅や近くのバス停から勤務先へ向かう。
千代の浦から幣舞橋方面へ、朝の通勤ラッシュがあるように。

「ああ 反対の方へ、向いているな」

とその時思った。



昨日NHKラジオでこの人が出演していた。


ダイアン吉日

ロンドンでグラフィックデザイナーとして働いた後、アルバイトで生計を立てながら、2年間で世界20カ国以上をバックパッカーとして放浪中、ニュージーランドでのルームメイトが大阪府在住だったことから、1990年に来日。友人宅で居候をしながら日本語を学習するなか、日本の文化、とくに着物に魅せられる。

英語落語の先駆者である故桂枝雀に英語を教えていた友人から、「桂枝雀氏が今度の落語会で外国人のお茶子を探しているがやってみないか?」と誘われ、1996年に、桂枝雀の落語会にお茶子として出る機会を得る。この時、枝雀の英語落語を聴いたのをきっかけに、1998年より本格的に落語の勉強を始める。

番組の途中でアナウンサーが
「ここまで極めればもう日本は終着駅ですね」
と訊くと、
「いや、今でも毎年世界各地を旅しています。私の気持ちは死ぬまで旅人でありたい、と思っています」と答えた。

多分、アナウンサーは
「はい、私にとって日本は終の棲家になりました」
という答えを期待していたのだろう、その後の会話が少しぎこちなかった。

いいなあ「いつまでも旅人」。



プロフェッショナルの主題歌にならなければ、もっと違うイメージになったであろう曲。

旅はまだ終わらない。