巨星墜つ
冬型の気圧配置。
冬晴れ。
↑10.7℃ ↓5.1℃ 北 5.7m/s 湿度39%
訃報
赤天狗の父さんが亡くなりました。
今日、お通夜に行ってきます。
赤天狗の話をすれば、切りがないくらい色んな物語りがあります。
初心者編として、
摩周湖の水をブレンドした「特製カクテル」についいて。
座ったカウンターに、ドンと置かれたコップに
父さんが神妙な顔つきでつくる特製カクテル。
最初にポッカレモンを数滴たらし、次に摩周湖から汲んできたという「摩周湖の水」をドボドボと注ぐ。最後にリボンシトロンをなみなみと注ぎ入れ出来上がる。
手に持って飲めないほどに表面張力がきいているので、コップに口を持っていき飲む。レモンの爽やかな香りとほんのりとした甘さが呑み人を安心させる。
「なんだ、軽いカクテルじゃない。これなら大丈夫かも」と。
気がつくと、となり、そのまたとなりではお代わりの決め事の、空になったコップをカウンターにドンと叩きつけている。
なんだか気分が高まってきたし、まあいいか!と思うと
えい!とばかりにコップを空にしてカウンターに叩きつける。
2杯目半くらいから自分でなくなる。
その後のことは、翌日の午後に記憶が戻った人々の証言で判明することになる。
「あれは自分に起きたことではないんだ、そんなことをする自分ではない」と自己弁解しようとするが、繰り返し襲ってくる吐き気と強烈な頭痛が、それ以上の思考継続を抹殺する。
「摩周湖の水って、本当なの?」
と赤天狗初心者は必ず尋ねる
「ああ そうだ 毎日摩周湖へ行って汲んでくるさ」
と父さんは決まって答える。
「天気の悪いときはどうするの?」と聞くと
「ヘリコプターで行っている」と答える。
そばで会話を聞いている常連の客はニコニコしながら初心者と父さんのやり取りを聞いている。
まるでにわかプロレスファンが
「あんなのヤラセで八百長じゃないの?どう見てもおかしいよ」
と騒ぐのを、永年プロレスを愛する人々が笑ってやり過ごすように。
昨日の川湯歩きで
見つけた!ヘリコプターでも発着できる摩周湖の水を汲める場所を!
美留和を過ぎたところにあるゲートボール場脇の広場。
「摩周湖の湧き水」と書かれた看板よこにある駐車場は大型トラックも横付けできるほどの広さがある。
ここだったらヘリでも行ける。
ここに行っていたんだ。
合掌