強風に吹かれながらバッハを聴きに行く

晴れ。
朝から強風吹きすさぶ釧路。
けど、やけに暖かい。
それでも今朝の最低気温はマイナス10度。

慣れというのは恐ろしい
氷点下20度を経験すると、10度になると暖かく感じる。



バッハを聴きにいった。
前にも書いたとおり、会場は釧路カトリック教会。

和商市場の隣。
幸町公園も前にある。SLが展示されている。

教会に入るということ自体に期待と不安。

十字架上のイエス様に
「おう やっと来たな」
と言われているような気がする


思ったより広い会場(聖堂)でびっくりする。
外から想像するよりかなり広い。
これはいいコンサートホールだ。
違った聖堂だった。


厚着をして歩いて行った。
教会に入るとふわっと暖かい空気につつまれる。
なにかいいにおいがする。
どこかで体験したにおい。

会場は満員になる。

生で聴く弦楽器の音は最初の出だしが一番心に染みる。
バッハのシンフォニア
心地いい弦とオーボエファゴットコントラバスチェンバロのアンサンブル。
緊張感もなく順調な滑り出し。
チェンバロも時おり笑みを浮かべながらも演奏を楽しんでいる。
後に控える難曲のためのストレッチ。



休憩前にモーツアルト弦楽四重奏曲「狩り」が入った。
何か不安を感じたのか、隣の幼児がぐずり始める。
その前のおじさん付近からはぐー ぐー・・・という
この場では聞いてはいけない音も。
タイタニックが沈没寸前に、お付の楽団が恐怖におののきながらも
気丈に演奏を続けている・・・
映画のそんな場面が脳裏をかすめた。


いよいよ最後の難曲
バッハのブランデンブルグ協奏曲5番

演奏前にチェンバロ弾きの人に会ったが
温湿布で手首を暖めている
練習しすぎで腱鞘炎になったそうだ
「最後まで止まらずに弾ける確率は五割」などと不安なことを言っていた。

僕の隣に座っている(この人はピアノとチェンバロの演奏を職業にしている)人と
二人で身を乗り出してながーいソロを見守る。
もちろん演奏は素晴らしく一楽章は感動の演奏で終了。
ふーっと大きな息を吐き出して
改めて演奏に聴き入る。

ニ楽章はチェンバロ、ソロバイオリン、フルートの三重奏から入る。
後ろでは十字架にはりつけになったイエス様が見守る。
チェンバロの神父様にバイオリンとフルートの罪深き人が
なんだかんだといい訳をしながらも懺悔をしているように聴こえる。
チェンバロ
「ちゃんと見ていたんだぞ、反省しろ」と言うと
「いや、あれはしょうがなかったんです。だってフルートにやれと言われて・・・」
とバイオリンが言う、そんな感じ。


外の暴風、極寒の釧路とは思えない異次元の世界をひと時味わった。

本当にお疲れ様でした
今夜はビールをあおるように呑んで疲れをいやしてください。


補足
バイオリン弾きの人って綺麗な方が多いのですね(どうでもいいことですけど)

あと、どこかで記憶していたにおいは歯科医でのにおいでした。
どうしてでしょう。