音楽を言葉で表す

曇り。日本海側の冬のよう。
じっとり湿った空気が寒さを身にしみこませる。

明日は荒れた天気になる予報。
夜のバロックトリオライヴに行けるか心配だ。





・・村上春樹の音楽の表し方がおもしろい。
普段なんとなく「そうだよな」と思っていることを、こともなく言葉でいい表す。

ねじまき鳥から

ソファーにもたれてそのハイドンの音楽(絶対にそうかと言われるともうひとつ自信はないのだが)を聴いた。
感じは悪くないのだけれど、出てくるそばからそのまま空中に吸い込まれて消えてしまいそうな音楽だった。


やがてハイドンの音楽が終わった。歯切れの悪い尻切れとんぼのような終わり方だった。
しばしの沈黙があって、今度はバッハのハープシコード曲らしきもの(たぶんバッハだと思うのだが、
やはり百パーセントの確信はない。)が始った。


こうやって音を出してみると具体的にわかっていい。
なんと便利なブログなんだろう!


最新作の「1Q84」にも冒頭からヤナーチェクの「シンフォニエッタ」が出てきた。

以前、you tubeなど知らなかったころには
音楽の題名(ロックやジャズ)が出て来ても、その内容を想像するしかなかった。
それはそれで楽しい事で、知らない人にとってその表記された題名の音楽は
それぞれの空想のなかで勝手にそれぞれの音楽に変わっていったのだろう。

前に図書館で村上春樹の本に出てくる音楽(主にジャズ)のCDというのがあって
さっそく借りてきて聴いたが、すごくがっかりした。
というのは「想像していた音楽と違った」からだ。

別に村上春樹がうそを書いたのでもなく、勝手にこちらが「このような音楽だろう」と
想像していたのが違っただけなのだ。



小川洋子の「博士の愛した数式」にも同じようなことが

博士の愛した数式

博士の愛した数式

話しの中に数式(方程式?)が多く出てきて、それが博士の気持ちを代弁している
という流れなのだが、もちろん数式を理解しなくても物語りはわかるし博士の気持ちもわかる。
ただ、数式を理解できる人はもっと具体的におもしろかったのでは、と想像するが・・・


今読んでいる「国境の南、太陽の西」に出てくる
「スタークロスト・ラヴァーズ」・・・
悪い星のもとに生まれた恋人・・・・ロミオとジュリエット

「君を見ていると、ときどき遠い星を見ているような気がすることがある」と僕は言った。
「それはとても明るく見える。でもその光は何万年か前に送り出された光なんだ。
それはもう今では存在しない天体の光かもしれないんだ。でもそれはあるときには、
どんなものよりリアルに見える」
島本さんは黙っていた。
「君はそこにいる」と僕は言った。「そこにいるように見える・・・・・」