私のYH感

真冬日



↑−0.5℃   ↓−10.2℃     西   11.5m/s   湿度  36%



ここ数日西風が強い。
クスリ橋を渡る時が一番寒い。

でもきれいな夕日
(今日のではありません)


やはり釧路の夕日はきれいです。



さて、先日書いた「もてない文科系男子とYH」



そこで前に書きとめておいた「私のYH感」
(長いです)
●YH(ユースホステル)旅人宿(とほ宿)、北海道ブームのころの宿泊所の実態。
ユースホステルというのは100年くらい前にドイツから始まった宿泊所のこと。世界各地にある。
おおよその説明をすると、基本はドミトリーで食事の片付けや寝具の片付けは自分たちでする。YHの旅に対するメッセージは歩く旅。
旅人や地域の人々とのとの交流の中で広い価値観を得て、人間性を高める。
そのメッセージについては今でも大いに共感するとこで、現に今現在の私の旅のスタイルはその頃と少しも変わらない。
ただYH発祥のドイツでは、若いときにこのような施設を使って旅をして世の中を知り、大人になったらお金を使う(高級ホテルに泊まる、食事も)
そいう方法で地域に還元する、そのために若いときに貧乏旅行をするべきだ!と言うらしいが、私は未だに自分探しの貧乏旅行を続けている。いいのか?

発祥当時の趣旨はそうだが、多分それぞれの地域で雰囲気は違う。
というのも、私が初めてYHを知ったのは鹿児島で、その後旅を続けながら本州のYHを泊まり歩いたが、北海道のYHはまったく異質だった。
歩く旅の勧めは同じで、例えばタクシーでYHの玄関まで乗り付けるのはNG。他にも観光バスもNG。グループ旅行もNG。
また夜の食事の後にミーティングというのがあって、このミーティングの目的は、先ずこのYHのルールの説明があり、そのあと地域の見どころ紹介、
次は交流会となる。
その交流会だけが北海道で独自に発達、進化して、ドサンコのような北海道在来種になった。それは一言でいうと自己紹介と歌って踊るイベント。

その頃は空前の北海度ブームで(今の外国人だらけに似ている)、日本全国から石狩汁や熊の彫り物や味噌ラーメンを求めて、ものすごい盛況だった。
YHもすごい人気で定員120人の大規模な施設が多かった。そして、夏のシーズンには定員120人に対してその倍くらいは泊まっていた。どのに寝る?
廊下やホールに「補助ベッド」というのがあり、まるで野戦病院のようだった。それでも誰も文句は言わず何かを求めて旅をしていた。

こういう時にどのような現象が起きるかというと、企業の求人状況も同じだが、売り手市場と買い手市場。宿やお土産屋は強気で「泊めてやる・売ってやる」
ということになる。だからその頃の北海道観光は、景色は一流、サービス三流と言われた。
YHにはペアレントと言われる経営者(管理者)がいるが、実際の業務はヘルパーといわれる若者たちによって運営されていた。あっそうだ、サブペアレントという人もいた。
あと宿泊者はホステラーと言う。
もちろんそれぞれのYHで多少の違いはあるが、YHの趣旨は最初に言ったように
「交流の中で広い価値観を得て、人間性を高める」なので「健全なる青少年の育成の場」なのです。
だから、その立場は主従の関係で上から目線。まるで教育現場のよう。
すると、旅は娯楽のはずなのに、いつのまにか、どこかの研修旅行のような雰囲気になります。
例えばミーティングのなかで自己紹介というイベントがあり、そこでは名前、出身地、血液型、好きなもの嫌いなもの、座右の銘、将来の夢、望む年収(うそ)
などを述べなければなりません。(僕のように)そんなことをしゃべるのが好き、という人もいますが、なかには、初めて会った他人に、
「どうしてそこまでしゃべらねばならいないの」と思うのが普通の人の気持ちです。

でもこの難所を無事に切り抜けると新たな出会いがあり、
素敵な彼女・彼と知り合い、素敵な結婚、素敵な人生と夢のようなレールに乗れる人もいます。実際います。
ただそういう人は、好きなもの嫌いなものに対する自分の意見に妥当性があり説得力もあります。




「なるほどこの人が鉄道を好きなのはもっともだ。だって、寡黙にこの人が列車のシートにおさまっている風景はどこかでみたことがある・・・うーんどこだったか?  
そうださっき見た駅のポスター。キムタクがリュックをしょって(小さめの)
車窓から夕日の沈む海を眺めている、あのポスター。この人だったらキムタクと置き換えても不自然ではない」




「なるほどこの人がきゅうりが嫌いなのもわかる。このまえ行ったミスチルのコンサートで桜井さんが(しるし、、、僕の声はきみに届くのかなぁ)を歌った後、
えー 実ははずかしい話なのですが、ぼくの唯一つの嫌いなものがきゅうりなんです。でも・・ダーリンダーリン、いろんな角度から君を見てきた、
そのどれもが素晴らしく、僕は愛を思い知るんだ。・・・・だけどきゅうりは嫌い」



この人のきゅうりが嫌いには妥当性があります。問題ありません。付き合いたい結婚したい栄光へのレールが待っています。



そんな感じで素敵なひとはどんどんカップルになり旅を卒業してゆきます。

その難関を乗りえようとも思わなかった人は、2度とYHなんかに泊まろうと思わないし、
または乗り越えられなかった人は、自分の鉄のような殻を破ろうと旅に出るのです。

ただ残念なことに、このYHの最大のイベント「ミーティング」は、ある北海道の特定地域だけの遺物になり、あまりほめられない言葉で○○○○YHと呼ばれ、
レブンアツモリソウやナキウサギのような人里離れた場所に特別天然記念物、あるいは奇跡の産物として生息しています。