酒場での酒の呑み方

今にも雪か雨が降りそうな曇りだったが
午後から雨音がぱらぱらと。

今日から12月、師走だがなんの感慨もなし。
早く年賀状を、と考えているだけ(これが何かに追われているってことか)

こういう日は風邪でもひいて
しゅっしゅっとストーブにかけた薬缶(やかん)からの湯気が立ち上る
古い、しかもおしゃれな部屋で、こほん、こほんとセキをしながら
萩原朔太郎の詩集でも読んでいる光景が似合う。

Love Letterという映画にこんな場面があったので
単にそれを思い出して言っているだけです。

「おげんきですか〜」





・・・酒の呑み方で村上春樹

村上朝日堂の逆襲 (新潮文庫)

村上朝日堂の逆襲 (新潮文庫)

昔酒場で働いていた経験からいって・・・・
「しん」と酒を飲んでいる人がいると、働いている方としてはかなり気になる。
「ぼけっと」飲んでいる人が好ましい、なんせ手がかからないから上客だ。

と言っている。
よくわかる気がするが、この「ぼけっと」が意外と難しい。
頻繁に飲み屋に行っているひとならできるかもしれないけど
年に一回とか(行かない年もある)しか行かないと
せっかく来たんだから何でもかんでも・・と思って
僕の場合は「しん」じゃなくて「がつがつ」とする。


前に「赤天狗」という名物飲み屋があった。
赤天のとうさん、と呼ばれる店主は80歳くらい(当時)
カウンターのお客さんはほとんどが常連でアル中。
その中に、いかにも「ぼけっと」呑んでいる客がいた。
一点を見つめているわけでなく、寝ているわけでもなく
怒っているわけでも、沈んでいるわけでもない。
まさに「ぼけっと」呑んでいる。

追加注文するときだけ目がさめたような感じになって
あとはまた「ぼけっと」。
とうさんも気にかけるわけでなく、無視するわけでなく。

そのときこれが究極の飲み屋だと思った。